【サザエさん】辻真先のアニメクロニクル 昭和が舞台の時代劇
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<「サザエさん」は、辻真先さんが放送開始時から携わってきた国民的人気のアニメ。時代は移っても、サザエやカツオたちは変わらず、21世紀の世の中にも普遍的な家庭の愛情を発進し続けている>
タラちゃんは三十何年たってもまだ幼稚園行ってないし、カツオも丸刈りのまま。登場人物はそれで良いとして、家電や通信手段なんかをどうするかは、問題になりました。
例えば携帯電話。カツオに持たせるかどうかという議論があったんですけど、本人ではなく友達が持っているというのは良しとしようということになりました。つまり、バックグラウンド・ミュージック(BGM)として携帯らしきものが鳴っているというシチュエーションは否定しない、ということなんです。
それに比べ、はっきりと否定したのはエアコンです。もしそれを書くとすると、カツオやワカメたちは、夏でも窓や戸を締め切ったところに帰ってこなくてはいけなくなるでしょ。やっぱり「サザエさん」の磯野家は、夏は障子を開けっ放しにして,庭には打ち水。そして風鈴がチリリン…でなくてはいけませんもんね。
話の内容も、すべてプラス思考で行こうという了解がありました。不景気だとか地震だとか、そういうことはやらないんです。マイナス思考はやらない。はやり言葉だって使ってません。その結果、三十数年たった今でも再放送できる。内容に違和感がないからです。
「サザエさん」はある意味、時代劇です。「昭和を舞台にした時代劇」なんですね。でも難しいのは、懐かしいと思って書いてはいけないということなんです。あくまでも、あれはそれぞれの主人公にとってリアルタイム。”現在形”で書かなくてはいけないんです。
ただ、江戸時代のような遠い昔を書くことよりも、昭和の用なちょっと前の昔を書くことの方が意外と難しいんです。(作家)
(写真) 仕事場で(現在は改装)でくつろぐ辻真先さん。つい昨年までは「サザエさん」の脚本を時折手掛けていた
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